20年以上も前に原発を題材に書かれた東野圭吾の小説「天空の蜂」がめちゃくちゃ考えさせられる
こんにちは、rinkuruです。
数ヶ月前に、東野圭吾の『パラドックス13』についての書評を書きましたが、今回新たに読んだ東野圭吾作品がとても考えさせられる作品だったので、ご紹介いたします。
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今回読んだのが『天空の蜂』という小説です。
小説『天空の蜂』
著者はもちろん東野圭吾さんです。
あらすじ
本書裏表紙にのっているあらすじがこちら。
何者かに奪われた無人の超巨大ヘリコプターが静止したのは、稼働中の原子力発電所上空だった。
犯人の要求は日本中の原子炉を破壊すること。
燃料切れのタイムリミットが迫る中、墜落阻止に奔走する技術者に政府が下した驚くべき決断とは。
人質はすべての日本国民。
いま直面する原発問題を指摘した問題作。
原発問題が私達にとっての身近な問題として考えられるようになったのは、2011年の東日本大震災による福島原発第一事故からだと思いますが、本書が小説化されたのは、1988年。
東野圭吾の先見の明にはいつも驚かされます。
小説自体も、巨大ヘリコプターが墜落するまでのタイムリミットを約600ページにもかけて緊迫感を持って描かれており、とてもおもしろいのですが、そこに込められた強いメッセージについて本当に考えさせられます。
この壮大な設定の事件を「現実でも起こりうるかも?」と思わせるのが、東野圭吾のすごいところですよね。
個人的にお気に入りのセリフ
ここで、小説『天空の蜂』を読む中で特に印象に残ったセリフを一つだけご紹介します。
沈黙する群衆に、原子炉のことを忘れさせてはならない。
常に意識させ、そして自らの道を選択させるのだ。
この言葉は犯人からの犯行声明として、送られてきたメッセージの一部なわけですが、ぜひ実際に読んでみてほしいので細かい説明はここでは省かせてください。
この『沈黙する群衆』という言葉は重要なキーワードとして、本作に何度か出てくる言葉でもあります。
「私」も、今このブログを読んでくれている「あなた」も、『沈黙する群衆』の一人なのだと東野圭吾は言っています。
「原発はよくないもの」、こういった考えは誰しもが必ず少しは抱いているもののはずです。
しかし、そのことについて実際に声をあげて言及しているのはごく少数の人に限られてきます。
またあくまでも犯人、そして東野圭吾は『原発に反対している』わけではなく、『自らの道を選択させる』ことを目的としているのです。
簡単に言えば、原発問題について見て見ぬ振りをせず、しっかり身近なものとして受け止めて、もっと考えるべきだということです。
また、このようなセリフも小説には登場します
子供は刺されて初めて蜂の恐ろしさを知る。
一度は蜂に刺されたほうがいい
「何らかの『痛み』がなければ、人間はその危険性には気づくことはできない」ということを蜂を例えとして説明したセリフです。
この世界の現実をよく表してると思いませんか?
このようにこの小説の中には「原発とはなにか?」、「本当に原発は必要なのか?」ということについて考えさせられる場面が多々あります。
これが『天空の蜂』が、エネルギー枯渇のこの時代にこそ、読んでほしい小説だといえるゆえんです。
まとめ
いかがでしたか?
私はまだ小説しか読めていませんが、映画化もされており、評価も高いみたいなのでそちらで見てみるのもいいかもしれませんね。
東野圭吾作品はただおもしろいだけではなく、学べることが多いことも魅力の一つだと思います。
ぜひコメントであなたのおすすめの東野圭吾作品を教えて下さい。
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